飛行機をまっすぐ飛ばす

はじめまして

みなさんこんにちは!そして殆どの方は「はじめまして」だと思います。運航部のtakahappyと申します。この度は弊社ブログにお越し下さり誠にありがとうございます。

まもなく設立より半年が経過するSHAですが、フライトシミュレーター(以下フラシム)をこよなく愛す仲間たちが多数集まり、ヴァーチャルではありますがある程度の部門化をすることが出来ました。運航部はこちらの内容で皆様のサポートをしておりますが、今日はブログ初投稿ということで、SHA運航部で行っているテクニカルサポートの中にある飛行操縦系のお話、シンプルだけど奥の深い話が出来ればと思っております。暫しお付き合いください。

やってみよう

おうちでフラシム、最近導入した方も、数年愛好されている方にも楽しく、そしてコツを掴まないと難しいちょっとしたゲームがあります。それは、

飛行機をまっすぐ飛ばすことが出来ますか?

です。もちろん自動操縦ではありませんよw 操縦桿とスロットルを握り操作し、フライトディレクター(FD:フライトマネジメントシステムが算出した適正姿勢を示すピンク(正確にはマゼンタ)の十字型目標)やオートスロットルも入れちゃダメです。

ゲーム目標

離陸して6,000フィートを目指します。方位は360度。指示対気速度は240ノットです。5,900フィートから”よーいどん”。90秒の間に上記数値目標にぴったり合わせます。1フィートも、1度も、1ノットもずれてはなりません。

私はこれをマスターするまでに1年かかりました。とても奥深いゲームです。確かにリアルパイロットのごとく、出発地から各地までエンルートを飛行し本物さながらに飛行をするのはとても楽しいです。私も大好きです。しかしながらその先にあるものがあると思います。それは手動で航空機を飛ばす醍醐味です。

エアワーク

このような訓練は一般的には「エアワーク」もしくは「マニューバートレーニング」と称されています。航空機の操縦の基礎となる訓練科目です。

目標高度には近づけるのですが、どうしてもあと数十フィート誤差があります。操縦桿で巧みに操作し、やっと目標高度に到達安定したと思ったら、今度は速度がずれています。それならばとスロットルを操作し目標速度へもっていくと、また高度がずれてしまいました。そんな中、飛行方向は目標方位から大きく逸れています。とても90秒では目標数値を維持することが出来ません。これがファーストトライでの結果だと思います。

2つのエネルギー

まっすぐ飛ばすにはちょっとだけ頭の中を整理しておく必要があります。

私たちは空中にいます。

あくまでも地球の大気圏内です。重力が影響します。空中にいる際、私たちは特に2つのエネルギーを持っていることを理解しなければなりません。

「位置エネルギー」と「運動エネルギー」です。

前者が重力、後者がエンジンから供給されるパワーです。

空中にいる航空機は、エンジンを吹かすことなくそのままにしておくと、ニュートンの林檎のごとく地球目掛けて落ちていきます。当たり前です。重力に引かれた航空機は次第に加速します。これが位置エネルギーです。この位置エネルギーを有効活用するのが”エアワーク”の一つ目の大切なことです。

PFDから諸元を読み取る

画像は弊社ボーイングインストラクター
トリプ=ル・シャンさんの提供です

上図をご覧ください。速度および高度が目標を超えています。こんなときはどうしましょうか?

高度を下げるため機首を下げる(ピッチを下げる)と、高度は減少しますが速度は増加します。なので機首を下げながらスラストを絞ってパワーも下げるのです。

これら4枚、数分間で作って画像をアップロード
されました

この場合はどうでしょう?速度が2ノット足りませんが高度が20フィート高いです。この場合、まずはピッチを下げます。すると速度が微増します。増速の度合いを体感すれば、ちょっと速度が足りない場合、自ずと、ちょこっとだけパワーを足す操作をすると思います。

これが「位置エネルギー(高度)を速度に変換する」作業です。

オートパイロットで諸処の状況を作って
載せています。ご了承ください。
実際はこの状況を手動で修正していきます

次はこの状況です。高度が40フィート足りませんが速度が2ノット超えています。もう答えはお分かりでしょう。パワーはまず弄らず、操縦桿を軽く引いて目標高度にゆっくりと近づけます。自ずと速度が微減します。最終調整でスラストを絞っていきます。

このような作業を行っていくと、その時の状況で速度一定、高度も水平飛行の状態になるピッチおよびエンジン出力が判明します。これが一般的に言われている「諸元を掴む」作業です。

さあ、この場合はどうします?

この釣り合うピッチとスラストパワー(N1のパーセンテージが指標でしょう)、刻一刻と変化します。そりゃそうですよね。空中を飛行していれば当然燃料を消費します。航空機全体の重量は減少していきます。風だって吹いています。ちょっとだけ機体をロールさせればその分揚力も減少しますので速度高度ともに変化します。

Stay Home Airlines フライトイメージ

ここまで紹介した事象はほんの一部です。機体がロールすれば当然方向も変わりますし、高度速度も変化します。パワーを増減させれば当然ピッチも変化し、例えばエンジン出力の左右差が出ていたら、これも当然方向に影響し、それは機体のロールとなって高度速度に影響します。

まっすぐ飛ばすことって、大変な作業なんです。

さいごに

このような飛行機雑学も含め、楽しく、そして賢くこの世界を満喫していただくためにも、ぜひSHAの仲間としてお集まりいただき、さらなる充実したフラシムライフを送ってみませんか?運航部では皆様のご入社をお待ちしております。

入会手続きはこちら

次回は、運航部で運用している「SHAパイロットレーティング制度」についてご紹介したいと思います。長文お付き合いいただきありがとうございました。

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