Stay Home Airlines フライトイメージ

機材塗装はバーチャルでも行う作業なのです

機材の塗装のお話

みなさんこんにちは。整備部MGRのささぴよです。管理本部のMGRでもあるのですが、今回は整備部として塗装についてお話ししてみようかと思います。

フライトシミュレーターにおける塗装は「リペイント」と呼ばれ、有志が各航空会社の物を用意していたりします。もちろんその中には実在する航空会社の物もあり、それを利用してまるで某社のパイロットかのようにバーチャルな世界を飛び回ることができるというわけです。

今回は実際の機材の塗装のお話と共に、Stay Home Airlinesの初号機をご紹介しながら、その塗装に込められた意味なんかを紹介してみようかと思います。

実機の塗装

リペイントの話をする前に、まずは、実機の塗装のお話をしていきましょう。

塗装にかかる期間

実際に皆さんが搭乗することができる飛行機の塗装、どれくらいかかっているかご存じですか?

今は変わっていたりもするかも知れませんが、私の聞いたタイミングでは、既存の塗装を剥がすのに1ヶ月、磨いたり等の作業で1ヶ月、再塗装で1ヶ月なんていう話もありました。なんとなくコレは整備も絡んでいると思われるので長い気がするのですが、いま改めて調べて見ると30人程度の人数が20日程度で塗装するなんて言う話も見つかりました。

学校一クラス分くらいで20日作業…。整備に伴って塗装のやり直し等があれば、年がら年中塗装を剥がして塗ってを繰り返している皆さんがいると言う事ですね。大変だぁ。

塗装にかかる塗料の量

一般的なジェット旅客機を塗装するにあたって必要な塗料は600リットルとのこと。コレは200kg程にもなり、かなり重いモノであると言う事がわかると思います。しかも空気抵抗にシビアな巨体ですから、ちょっとした塗料の凹凸も許されません。コレは大変な仕事です。

最近は見なくなりましたが、一時期アメリカン航空やJAL CARGOの機材は銀色で塗装が最低限だったことがあります。コレはコレで重量を軽くすることができる分、当然ながら燃料費を節約できる可能性があるという意味では利点がありますね。シンプルにまぶしかったりもしますが…パイロット間の評判はどうだったんでしょう…?

ちなみに最新鋭の機材であるBoeing 787シリーズは、炭素繊維でできていることもあり、塗装を剥がすと真っ黒だなんて話を聞いたことがあります。再塗装時の資料画像では完全に塗装を取り去った物が見当たらず、何とも言えないのですが、塗装されていない真っ黒な機体はその存在感からちょっと怖さを感じるかもしれませんね。

機材を塗装する意味

機材を塗装することには「ブランドを提示し魅力的に見せる」というような意図があるのは当然ですが、それだけでは無く「機材を腐食から守る」という意味合いも強くある様です。

どんなに腐食しづらい金属を使っているとは言え、全く腐食しないわけではありません。炭素繊維だからといって水が浸みて良いわけでもありません。機体を守るために塗装を行うと言うのはとても重要だというわけです。

あれ?先述のシルバー機材は塗装してないから腐食しやすいの?と言う事になりそうですが、それは心配無用。色のついた塗装をしていないだけで、その外側のコーティング剤などはしっかり使われています。それらを合わせると1トン分くらいの塗装になるなんて言う話を過去に聞きましたが、塗料が600リットルで200kgという事を聞くと今は随分変わっているのかも知れませんね。

白が多いのは?

白の塗装が多いのは何ででしょう?調べて見るといくつか理由があるみたいです。

視認性が良い

まずは明るいので視認性が良いという事。雲があるとちょっと話が違ってくる気もしますが、暗い中でも白であれば見つけやすかったり、上から見下ろしたりするときにも見つけやすかったりしますね。明るい中で下から見あげてみるときは…白でも黒でも影になってわからない事もありそうですが、白であれば暗いときのメリットは出せますね。

清潔感を表現しやすい

清潔感も白だと表現しやすいようです。確かに純白はウェディングドレス等で使われることもあるくらいですし、そのような理由は間違いなさそうです。

結局塗るから…

それ以外にも、デザイン的な理由がある様です。コレは「結局白をベースに塗ることになるから」という物。印刷物などでシンプルに考えてみるとわかるのですが、白の上に色を載せると鮮やかに発色する物の、黒や他の色の上に色を載せても発色は濁ってしまい、想定した色にならないことが多いです。そのため、どんな色を塗装するにあたっても、後ろには白を塗る事が殆どとのこと。であれば、重ねて塗る量を減らすべく、全面白にしてしまう…というのは先の重量の話と合わせたら納得感があります。

メンテナンスへのメリット

後は、白だと色の変化から腐食やオイル漏れに気づきやすいというメリットが整備士の皆さんにあるそうです。これもなるほどなっとくという所。塗装で割といろいろな色を使っていても、メンテナンスの多くなりやすい、機体のお腹部分等は白い機材が多いのも、それが理由かも知れません。

お手軽な塗装方法

最近街中を走るバスや電車で「ラッピング」という手法がとられるようになってきましたね。シンプルに大きなシールを貼って塗装の代わりにしてしまう方法で広告用途などでよく使われます。

実際に飛行機でもその手法は使われるようになってきました。空気抵抗にシビアなため、その実用性などが検証されるまでは導入されなかったようですが、今では盛んに利用されています。飛行機利用される際は「デカール」等と呼ばれることが多いですね。印刷した物を貼り付けるという事もあるので細かいデザイン表現がしやすいというメリットがあるようです。企業とのコラボによる塗装や、一時的なプロモーションなどで使われたりしています。

デカールのおかげでいろいろな機材を見ることができるので、空港に行くと同じ航空会社の物なのにどれもこれも見た目が違う…なんてこともありますね。

ちなみにマニアの間では特別塗装機を「スペシャルマーキング」を略した「スペマ」などと呼ばれたりしているようです。私は「特別塗装」って言ってしまうのであまり使わない表現ですが…。この「スペマ」の機材をFlightRadar24に登録して、どこに居るのかわかる様にしている何て居る人も居るみたいです。私はキリが無くなるのがわかってるのでやらないようにしてます。(知りたい気持ちはあるのですが。)あ、FlightRadar24のお話はまた追々。

フライトシミュレーター界の塗装

最初の方でお話しした通り、フラシム界でもこの塗装は行われます。具体的な事は追々にするとして、とりあえずどんな感じなのかをお話ししておきましょう。

リペイントは機材ごとじゃない!

リペイントは機材ごとかと思いきや、機材というレベルでは無く、メーカーごとに行うことになります。

どういうこと? となりそうですが、実際の機材がAirbusやBoeing等の各社から出ているのに対して、シミュレーター向けの各機材はいろいろなメーカーが作っていたりします。そのため同じBoeing 737-800でも、メーカーが違えばリペイントデータの作りも異なるので、別々に作る必要があります。

コレはなかなか厄介な問題で、シミュレーターソフトが変われば機材のメーカーも変わるので作り直しという事になるわけです。データが異なるので完全に作り直しとなってしまうこともあります。

Stay Home Airlinesのリペイント

Stay Home Airlines フライトイメージ

こちらが現行のStay Home Airlinesのリペイント、その初号機であるJA801Sです。(写真はトリプ=ル・シャンさん撮影のものです。)

ちなみに実際の機体番号に「S」という文字が使われることはありません。「5」との誤認を防ぐためとのことですが、現在Stay Home Airlinesでは実機と重ならないというメリットを踏まえ、敢えて使用しています。

話はそれましたが、この初号機を作成したのは私です。この機体はQualityWingsという所が販売しているBoeing 787-8ですね。私が初めて購入した機体アドオンで、唯一手元で作業ができる物だったこともあり、この機材で作成しました。

折角なのでこの機材の写真を見ながら、Stay Home Airlinesの塗装のデザイン的な意味をお話ししようかと思います。

各ロゴについて

胴体側面の横長ロゴ、そして尾翼の円形ロゴ、いずれも代表のふらいとさんがザザッと書いた下書きから生まれています。コレをデータ化したのも私でしたね。懐かしい。

パーツが多い分非常に悩ましかったという所はあるのですが、根底が「家」と「空」というテーマに有ったので、「地」と「空」と言う事を意識した配色にしていきました。ですので、地面は茶色、空は水色、そして自然をベースとした緑、アクセントとしてハートを使う事でそこにピンクを置くことになりました。そもそもそう言うロゴがあったという前提が全ての始まりです。

側面の表現

地面と空を機体に表現するにあたって地面を表現する必要があると思いました。そのため、地面のラインを延長し、機体最前方と最後方の両端へ引き延ばしています。

尾翼の部分は山に見えると言うことから、ロゴの飛行機を後ろにずらし、ロゴの高さを確保することと、山の上に向かって飛んでいくような表現としました。山に見える尾翼は自ずと緑生い茂る山に見立てるべく緑の塗装に決まり、地面から緩やかな曲線を描き上端へと繋がります。写真では少し下から見あげていることもあり、尾翼部分で角度があるように見えますが、実際には緩やかに尾翼の下へと続いています。

尾翼の表現

尾翼は実在他社にならい、円形ロゴを配置しました。ただ、それだけでは動きが無くつまらないようにも見えてしまったことから、装飾を加えることにしました。

円形ロゴの背景にある黒・白・青の斜線は、代表 ふらいとさんのYouTubeで当初使われていた待機画面のイメージから来ています。この待機画面はそのうち変わるというのを承知でこの様にしているのは、ここに「源」を残したかったという意味合いもあったりします。意外と考えています。きっとどこかのタイミングでこの尾翼は廃止されてしまうのでしょうが、少なくとも今の段階では良いアクセントであり、隠されたメッセージになっていると思います。

先端の表現

鼻先がピンクです。これも代表 ふらいとさんが「鼻の先ピンクにしたらかわいくなるかな?」という旨のお話をされたことで実現しました。コレが無いと茶色の地面ラインが鼻先まで伸びることになり、ちょっと見た目が変な感じになっていたんですね。

ちなみにこのピンクは機体先端のレーダーが有る部分です。塗装する際は外して塗装することも可能なので便利です。(勿論バーチャルな世界で外すことはありませんがね。)

2号機以降は…

実はこの初号機の塗装がハードルをあげているせいで、一部のリペイントについてはこの初号機と異なっているものがあったりします。Boeing 787-8シリーズに関しては、初号機以降も私が製作をしているのですが、いろいろなバリエーションを用意していますので、そのうちまた、ご紹介できればと思います。

リペイントは楽しいゾ

ということで、長くなりましたが、今回は組織としてのStay Home Airlinesの初号機をご紹介しました。意外と考えて作られているという事が伝わると良いなぁと思っていたりします。

難しそうに見えるかも知れませんが、ツールに慣れてしまえば意外と簡単…何ですが、これまたリペイントを作るためのデータ(リペイントキット)の作りに依って変わってきます。今回ご紹介したQualityWingsは非常に作りやすいリペイントキットを用意してくれていたので、私も初めてながら簡単に作る事が出来ました。

リペイントができる様になったら、自分のオリジナルな飛行機を飛ばすのも自由自在! リペイントをやってみたい方も良かったら社員募集のページより入社申請してみてください。整備部、人手不足が否めません! お待ちしています☆

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